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じっと見ている

  • Posted by: 松野泉
  • 2010-11-20 Sat 22:36:49
  • -
蜂巣敦さんの怪狂譚を読んでいて、悪意ある視点について書かれた章があった。都市伝説で、変な男に追いかけられた女性がトイレに逃げ込む。一番端のトイレに逃げ込んだ女を男は手前から順番にドアを開けていき、追いつめていく。男はどんどん女のいるトイレに近づいてくる。隣のドアが開けられ、いよいよドアを開けられると恐怖に怯える女。しかしドアは開けられない。男の気配もしない。女は不思議に思うが、朝がくるまでそこに隠れている事にする。朝が訪れ、ようやく安心して外に出ようとする。その時、ふとドアの上方を見上げると、天井との隙間から男がじっとこちらを睨んでいる。男は天井の隙間から顔だけを出し、一晩中女を見つめていたのだ。この話を読んで、ちょっと前に低予算のホラー映画として話題になった、「パラノーマルアクティビティー」のあるシーンを思い出した。自宅で怪現象に悩まされるカップルが、ベッドルームに監視カメラを仕掛け、自分達が寝ている姿を撮影し、その原因を探ろうとする。ある晩、ビデオには、突然ベッドから起き上がる女が映っている。女は立ち上がり、フラフラしていたかと思うと、男の側に立ち、じっと男を見つめている。男に何か危害を加えるのではないかとハラハラするが、女は何をするわけでもなく、ただ男の側で何時間も男を見つめている。この映画、このシーンだけがとても印象に残っている。僕も一度、これと似た恐怖を味わった事がある。大学を卒業してすぐの頃、平日の昼間、実家に戻ってきていた僕は、何かの用事で、実家のすぐ側にある祖母の家にいた。用事を終え、何となくバルコニーに出ると、駐車場の辺りにソフト帽を被った髪の長い中年の女性が立っている。白いシャツをズボンにきっちりと閉まい、背の高い女だった。女性は直立不動で祖母の家を見つめている。僕は何か禍々しいものを感じて、思わず室内に隠れ、しばらく女性を見ていた。女性はしばらくそこに立ったまま無表情で家を見つめていた。その先には壁があるだけで、何か見るべき物があるとは思えない。僕はだんだん怖くなってきて、わざと窓ガラスをガタガタ鳴らして、家に人がいる事を分からせようとした。すると女性は何事もなかったかのように歩き去っていった。僕はとても気持ちが悪かった。蜂巣さんの文章を読んでふとあの日の事を思い出してしまった。あの女は一体何だったんだろう。自分の全く知らないところで、全く違うルールの元で、自分を、もしくは自分の家族を憎悪する人間がいるかもしれない。そしてその悪意ある視線は今も何処かで自分を見ているかもしれない。夜、寝ている僕の寝室の窓に、じっと僕を見つめる女の姿。僕はその視線に気付かなかったが、その視線はずっとそこにあったかもしれない。そう思うととっても怖い。

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