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14歳

  • Posted by: 松野泉
  • 2007-06-29 Fri 02:23:35
  • -
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6月29日 シナリオ会議/「戦う女」仕上げ/


14歳のある日から自分は大きく変わった気がする。
出会いは人の人生を大きく変える。
「生きるべきか、死ぬべきか」そんな命題を突きつけられる程に出会いはときに強烈で、攻撃的だ。12歳の時にそれまで伸ばし続けていた髪の毛(肩まであった)をばっさりと切った時、これが人生の転機になるかもしれないと意気込んで学校に行ったが、たいした変化はなかった。変化とは自分自身が作り出すものではないのかもしれない、と思った。

たぶん僕は恋していた。
憧れていた。夢見ていた。好きだと言って欲しかった。
その人は中学生だというのに休み時間に競馬新聞を読んだり、サッカー部の練習の前に「小さな恋のメロディー」を観て来たり、ブルーハーツで最高の曲は「風船爆弾」だと言ったりした。
彼のやる事、いう事、何もかもが格好良いと思ったし、自分はこの人が言う事の全てに従う事で、この人のようになれるのだと思った。今思えばあれはいじめだったかもしれない。彼はサディストだった。僕はいじめられる事に快感を憶える事はなかったが、自分の価値観が揺るがされる事には素直に興奮した。彼は不良ではなかったが、誰よりも早く一人エッチのやり方を教えてくれたし、誰よりも世の中の事を知っているように見えた。
彼の部屋は壁一面がブルーシートに覆われ、手と指の分解された図のような絵画だけが、唯一、そのモノトーンの壁に飾られていた。学校中の誰もが夢中になっている事に対して、彼は全く興味を示さなかった。
彼を夢中にさせるのは、音楽と映画と、馬。それだけだった。
彼はよく馬の絵を書いていた。鉛筆書きで授業のプリント用紙に何時間もかけて丁寧に丁寧に馬の絵を書いた。

僕は彼に出会うまで人前に出るのが大好きで、「いらん事しい」の子だった。誰よりも目立ちたいと思ったし、自分が世界中で一番面白くて賢い子供だと思っていた。

そんな僕の価値観を彼は責める事も、馬鹿にする事もなく、ただ自分の行為を示す事によって否定した。僕は完全に自分を見失ってしまった。今まで自分が信じてきたものが全て嘘くさく、格好わるく、卑怯な事にさへ思えた。
そして僕は人から愛されたいと思う事を、行動に出したり、言葉にしたりするのは恥ずかしい事だと思った。
求める事を何一つ与えてくれない友人というのものを、その時初めて知った。自分の中に初めて芽生えた自分に対する疑い、敵意、要するに「羞恥心」というものの圧倒的な変化にただ自分を隠す事でしか対処できない自分がいた。

14歳、僕は恋をして、自分を疑う事を知った。
それは遅すぎる小さな変化だったかもしれないが、自分にとっては決定的なものだった。

彼に出会い、僕は詩人になりたいと思った。



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